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天聲人語2016年03月04日(金) 有無含義 必須搞清

▼「私の在任中に」憲法改正を成し遂げたいという安倍首相の発言が大きく報道された。そう述べた後に、首相はもう一つ見逃すことのできない答弁をしている。一昨日の参院予算委員会だ

就任期間我要完成修憲大業。媒體大肆報導了安倍首相的發言。作此表述之後,首相在前天的參議院預算委員會上又進行了一次令人不得不關注的答辯。

▼民主党の大塚耕平氏が自民黨の改憲草案を取り上げた。憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と定めるが、草案は「個人」を「人」に改めている。このことに何か意味があるのかと大塚氏はただした。首相は「さしたる意味はないという風に承知している」と答えた

民主黨的大塚耕平先生談到了自民黨的修憲草案。現行憲法第13條規定,“作為個人,所有國民都應得到尊重”,可是草案將“個人”改成了“人”。大塚先生質疑稱,這一舉動是否包含著某種意思?首相回答說,“我認為不具備什麼必須說明的意思”。

▼ならばなぜ変えるのかという疑問が浮かぶが、実は意味がないどころではない。草案のこの部分には重大な意味が潜む。今の13条への否定的な評価である

既然如此,那麼為何要改變呢?於是這一疑問便浮出了水面。看來並不像所說的那樣,實際上並不具備什麼重要的意思。且評價稱,這是對現行憲法第13條的否定。

▼草案作りに携わった前首相補佐官の礒崎陽輔(いそざきようすけ)氏が、自身のホームページに「私見」を書いている。13条は「個人主義を助長してきた嫌いがある」と。公式見解ではないとしても、自民黨に根強い発想だろう

參與草案製作的前首相助理磯崎陽輔先生在自己的網頁上撰寫了“個人意見”,認為第13條“有助長個人主義的嫌疑”。即便這還不是一個官方的見解,可是,姑且可以說是自民黨內的一個根深蒂固的思想。

▼改憲が必要な理由として随分以前から「行き過ぎた個人主義」が挙げられてきた。安保法制に反対する学生を若手議員が「利己的」と批判した一件は記憶に新しい。草案にうたわれる「公の秩序」や「家族の尊重」とともに、礒崎氏のいう「自民黨の思想」を形作っている

作為必須修憲的理由,很早之前便例舉了一點,即“過分的個人主義”。指出年輕議員批評反對安保法制的學生有“利己性”傾向一事,恐怕各位還記憶猶新吧。與草案說訴求的“社會秩序”及“尊重家屬”一同構建了磯崎先生所說的“自民黨思想”。

▼こうした背景からすれば、さして意味はないとの答弁は不可解だ。理解不足なのか。野党は首相の憲法観をさらに問うべきだ。首相は議員同士で議論すればいいと逃げ腰だが、改憲を実現したいと繰り返す以上、答える責任がある。

從這一背景來看,所謂不具有什麼意思的答辯令人費解。究竟是我們理解不夠?還是在野黨應該對首相的憲法觀進一步提出質疑呢?首相擺出一副推卸責任的架勢,稱議員同仁可以進一步展開討論。但是,只要你反復強調希望實現修憲,就負有回答質疑的責任。

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天聲人語2016年03月03日(木) 認知患者 心中世界

▼82歳のそのおばあさんは、病棟を自分の暮らしてきた町に見立てていた。デイルームにある置き畳は、近隣の住民が集まる「公民館」だ。廊下にある消火栓の赤いランプは、そこが駅前であることを示す。日中は鍵のかけられた病室が、彼女の自宅だ
82歲的老奶奶,把病房大楼當做自己生活了一輩子的城镇。放在休息室的榻榻米地墊就是集中了附近居民的【公民館】。位於走廊上的消防栓红燈则代表了車站附近。白天上了的病房就是她自己的家。
▼看護学者の阿保(あぼ)順子さんの著書『認知症の人々が創造する世界』が描く光景である。彼らがこの世界をどう見ているかが解き明かされる。周りからは「虚構の生活」と見えても、彼らにとっては「必死で作り上げた現実」なのだと説く
這是看護学家阿保顺子在著作《痴呆症患者们所創造的世界》中描繪的光景。揭示了他们是如何看待這个世界的。書中提到,即便在周围人看来是【虛構的生活】,但對他们而言是【拼了命創造的虛構】。
▼91歳だった男性に世界はどう見えていただろう。9年前、認知症で徘徊(はいかい)中に列車にはねられ、亡くなった。JR東海はダイヤが乱れたとして損害賠償を求めていたが、最高裁はおととい、妻ら遺族に賠償責任はないという判決を下した
在當年91歲的的這位男性眼中世界又是如何?9年前,他因患痴呆症在徘徊中被列車撞到並喪命。JR东海以打亂時間表為由要求進行損失賠償,最高法院前天判定其妻子等死者家屬没有賠償責任。
▼「老老介護」である。一瞬たりとも目を離すなと要求するなら酷に過ぎよう。被害者側をどう救済するのかといった課題は残るものの、一、二審の判断を最高裁が覆したのはよかった
這是【老老看護】。如果要求目不轉睛得片刻不離過於嚴厲吧。儘管留下了課題要如何救助被害者一方,但最高法院推翻一審、二審的判决非常好。
▼認知症の人はなぜ「自分の世界」を創造するのか。終末期医療に取り組む大井玄(げん)さんの『病から詩がうまれる』は、自分と現実の世界とのつながりが切れてしまうという不安に耐えられないからだとする
患有痴呆症的人為什么會創造【自己的世界】?致力於晚期治療的大井玄在《來自病中的吟詩》中寫道,因為他们無法擺脫自己於現實世界脫鉤的不安情緒。
▼だから、不安を鎮めなければならない。決して怒らず、いつも笑顔で接しなさい、というのが大井さんの助言だ。「最良のかたみは、幸せそうな笑顔と笑い声」。91歳の男性も、最良のかたみを家族に残していったと思いたい。
因為必須壓制這種不安。大井建議,千萬不要生氣,請經常保持笑容對待他們。最好的遺物就是幸福的笑臉與笑聲。希望91歲的男性也給家人留下了最好的遺物。

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天聲人語2016年03月02日(水) 漢字手書 各有韻味

▼批評家の小林秀雄は、書家でもあった良寛の詩軸を得意になって掛けていた。ところが、友人の良寛研究家に偽物と判定され、刀で斬ってバラバラにしてしまった。「真贋(しんがん)」という文章の冒頭の挿話だ
評論家小林秀雄得意洋洋得把書法家良寬法师的詩軸掛在牆上。但是,被身為良寬研究家的朋友判定為赝品後,用刀斬得粉碎。這是《真赝》這篇文章開頭的插曲。
▼偽物はともかく、良寛の筆は独特だ。脱力系と言おうか。書家の石川九楊(きゅうよう)さんによれば、「けだるく、懶(ものう)い」書である。例えば「二」という字は第一画、第二画とも短い。長めの点が二つ、離れて並んでいるように見える。二の字がもし話せたら、これは私の偽物ではと苦情を言うかも知れない。そう思うほどだ
暫且不说赝品如何,良寬的笔锋独特。可以说是無力派吧。根据書法家石川九杨的说法,屬於【没力气、慵懒】的寫法。比如说【二】字第一笔和第二笔都很短。看起来就像两个长点分開列在一起。如果二字会说话的话,或许会抱怨说這是我的赝品。独特到会给人這種联想。
▼字の書きぶりは人それぞれだが、その形をめぐり困った問題が起きているらしい。例えば、鈴木さんが銀行の窓口で署名したら、書き直しを求められた。「令」の下の部分を「マ」と書いたのだが、印刷文字の形と同じにしてほしいと言われた――
字的寫法因人而异,关於字形发生了令人困惑的问题。比如说,铃木在银行的窗口签好名後,被要求重寫。【鈴】的下半部分寫成了【マ】,但被要求希望寫成和印刷文字同样的形状---
▼明朝体などとの細部の異同を必要以上に気にし、本来なら問題にならない違いで正誤を決める傾向が出ている。そんな問題意識から、国の文化審議会が常用漢字の字形に関する指針をまとめた
有倾向显示,對明朝体等细部的差异過於关注,本来不成问题的差异却成了决定正误的关键。从這種问题意识中,国家文化審議会针對常用汉字的字形出台了指导方针。
▼「保」の字の下の部分は、「木」でも「ホ」でもいい。とめる、はねるといった違いはあっても、文字の骨組みが同じなら誤りではない。手書き文字には多様性があっていいということを示したかったと担當者は言う
【保】字的下半部分可以寫成【木】,也可以寫成【ホ】。即便有横、钩之类的差别,只要文字的骨架相同不算错误。負責人称想要展示手寫文字可以具有多样性的目的。
▼良寛の個性的な書ならずとも、人が自らの手で書く文字はこの世で唯一無二の刻印だ。印刷文字にはない味わいがある。達筆にはもちろん、悪筆にもそれなりに。
即便寫不出良寬那樣有個性的字體,但每個人親手寫的文字是留存在這個世界上獨一無二的印跡。具有印刷文字沒有的風味。一手好字自不必說,字寫得難看也獨具特色。

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天聲人語2016年03月01日(火) 選舉改革 止步不前

▼汗をかくという言い回しが、苦労するという意味で使われることがある。特に政界でよく聞く。与党が野党の合意を取り付けるために説得を重ねる。頭を下げる。かつては酒食の接待をするなど、よくない汗が流されたこともある
出汗這个詞有時用來表達辛苦的意思。特别在政界经常聽到。執政黨為了獲得在野黨的首肯要反覆勸說。低頭示弱。曾经還发生過酒飯招待等不好的流汗事件。
▼汗をかく人は、おおむね好ましい政治家像とされてきた。日の當たる場所を求めず、地道な裏方仕事に徹する。かぶらなくても済む泥を場合によってはあえてかぶる。むろんきれいごとばかりではないが、目立ちたがり屋が多い政界では重宝される
流汗的人一般被描繪成可敬的政治家像。不求抛頭露面,踏踏實實得盡力做好幕後工作。還要敢於承受無需背負的罵名。當然不全是好事,但在擁有眾多喜欢博取眼球之人的政界難能可貴。
▼衆院の大島議長の口から「政治の技、政治の汗、政治の使命」という言葉が出たのは1週間前のことだ。一票の格差を是正するために選挙制度をどう改革するか。与野党が合意に至るよう一層の努力が必要だとはっぱをかけたのだろう
1周前,眾議院的大島議長聲稱:政治的技藝、政治的汗水、政治的使命為了消滅一票之差要如何改革選舉制度?這是在激勵執政在野黨需要進一步努力以達成一致意見吧。
▼改革の方向性は明らかだ。地方に手厚く議席を配分する「1人別枠方式」を実質的にもやめることだ。地方の声が届かなくなるという反論もあるが、最高裁は一票の価値の平等を重視し、廃止を求めてきた
改革的方向性明顯。要從實质上取消優待地方的議席分配方式【一區一票式】。虽然也有反對意見稱無法傳遞地方的聲音,但最高法院重视每一票的價值平等,一直要求廢除該方式。
▼ところが、自民黨は格差の抜本的な是正を2020年以降に先送りするつもりのようだ。きのうも衆院予算委員会で、民主党の岡田代表が安倍首相に繰り返しただしたが、平行線だった
然而,自民黨打算将這種消除差距的根本方法延遲到2020年以後。在昨天的眾議院预算委員会上,民主黨的岡田代表反覆安倍首相,卻一無所獲。
▼自民黨の後ろ向きでかたくなな姿勢に、連立を組む公明党も困り顔だ。限度を超えた格差に、最高裁が「違憲状態」の警告を発し始めて久しい。いまだ冷や汗も脂汗も出てこないというのであれば、鈍感な体質も極まれりである。
面對自民黨倒退且頑固的姿態,聯合政黨的公明黨也一副困擾的表情。對於超標的差距,最高法院很久之前就已提出【違憲狀態】的警告。如果現在既不出冷汗也不出急汗的話,體質也遲鈍到了極致。

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天聲人語2016年02月29日(月) 二月絮語 新的開始

▼きょうは閏日(うるうび)。1年365日の端数として余る約6時間を積み立てて、いわば4年満期で授かる1日だ。片や現実の暮らしでは、マイナス金利に不安も漂う2月の言葉から
今天是閏日。1365天還多出约6个小時的零頭累加起来,也就是每满4年凑成1整天。另一方面,以下摘自虛構生活中對負利率充满不安情绪的2月絮语。
▼戦前に夭折(ようせつ)したハンセン病の作家、北條民雄を読み継ごうとする動きが広がっている。「すみれ」という童話もよみがえった。片隅に一輪咲くすみれが、〈どんなやまのなかでも、たにまでも、ちからいっぱいにさきつづけて、それから わたし かれたいの。それだけがわたしのいきているつとめです――〉。命を見つめる澄みきった目がある
最近流行閱讀戰前死於麻风病的作家-北條民雄的作品。其童话作品【紫羅蘭】也重放光彩。在角落裡绽放的一朵紫羅蘭说:不管是在任何山林中,還是山谷里,我都拼盡全力绽放,然後我想枯萎掉。這些才是我活着的職責---”。他有一雙看透生命的纯淨眼睛。
▼元プロ野球の清原和博容疑者が覚醒剤で逮捕された。旧友の桑田真澄さん(47)が「野球はピンチになれば代打やリリーフがあるけど、人生にはそれがない。彼はそれがわかっていると思う」。更生を願う一言だ
前職業棒球選手清原和博嫌犯因興奮劑被捕。老朋友桑田真澄(47)说:棒球在危急關頭,有替補和救援,但人生没有這些。我想他懂這一点。這是期盼他重新做人的一句话。
▼俳優の仲代達矢さん(83)率いる私塾「無名塾」が創立40周年を機に東京での記念公演の準備を進めている。稽古場の額に直筆で「若きもの名もなきもの ただひたすら駈(か)けのぼる ここに青春ありき 人よんで無名坂」
演員仲代達矢(83)創辦的私塾【無名塾】藉創立40周年之際著手準備在東京的紀念公演。他親自為訓練場的匾額題詞:少壯不知名 一味向上爬 此處存青春 人稱無名坡
▼原発事故のあと父親を自死で亡くした福島県の農業樽川(たるかわ)和也さん(40)が言う。「人が作ったものはいつか必ず、ぼっ壊れんだ、自然の力にかなうわけねえんだって、おやじが言ってた通りになったんだから。して、5年もたって、まだ誰も責任とってねえんだから」
核電站事故後,父親自殺而亡的福島縣農民樽川和也(40)说:人類所建造的東西總有一天會坍塌。因為就像老爸所說的,它们無法与自然力量抗衡。你看,都過去5年了,還没有人為此負責
▼〈原発の再稼働また一基増ゆさして大きく騒がれもせず〉と朝日歌壇に荻原葉月さんの一首。大震災から5年が近づく。
【一座加一座 重啟不停歇 核電又復燃 再無風波起】,這是刊登在朝日詩壇上荻原葉月的一首作品。大地震發生至今已近5年時間。

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天聲人語2016年02月28日(日) 過橋發現 水位上升

▼ 米大統領選で話題をさらう不動産王トランプ氏は、毒づいたり難癖をつけたりする方面の語彙(ごい)が実に豊かだ。うそ。デマ。詐欺。たわごと。恥を知れ。口を極めて全否定するものの一つが地球温暖化である

美國總統選舉中包攬了所有話題的地產王川普先生在惡語中傷、攻擊一點不及其餘方面的詞彙真可謂豐富多彩。說謊、造謠、欺騙、胡說八道、不知廉恥等等。竭盡全力全面否定的一點就是地球暖化。

▼寒い日に「外の雪や氷を見ろ。温暖化対策など税のむだ遣いだ」とやる。「温暖化は米国産業界を倒すために中国人がでっち上げた説だ」と放言していたが、最近引っ込めた

寒冷的日子裡,他便指責說,“看看外面的冰和雪,用於溫暖化對策的稅金簡直就是打水漂”,並大放厥詞稱“溫暖化就是中國為了搞垮美國產業界而編造的謠言”。不過,最近倒是收回了該言論。

▼トランプ氏でなくとも、長期にわたる気候の変化となるとなかなか体感しにくい。けれども先日、取材先の徳島市で小舟に乗って橋を次々にくぐった時は、20年間に生じたという潮位の変化をまざまざと実感した

即便沒有川普先生,對於時間漫長的氣候變化也很難有所體會。然而,日前在德島市採訪過程中乘坐小船穿過一座座橋洞的時候,親身感受到了20年來發生的水位變化。

▼地元で「ひょうたん島」と呼ばれる中州を一周した。あらかじめ屋根を外したボートだが、乗客が一斉に席で足首をつかんで前屈しないと低めの橋を通れない。舵(かじ)をとって24年、環境NPO代表の中村英雄さん(77)は「いやもう毎日が異常潮位。冬場でも目算で10センチは予測値より高い。前屈しても通れない日は航路を変えます」

在當地,圍繞著一個被稱作“葫蘆島”的中州轉了一圈。雖然該小船已事先拆除了船篷,可乘客們還是要向前彎下身子,手抓住腳踝,降低身姿後才能通過橋洞。當了24年船老大,身為環境NPO代表的中村英雄先生(77)說,“哎呀,每天都是水位異常,即便在冬天,目測估計也要高於預測值10釐米。要是彎下腰還不能通過的話,就只能改變航線了”

▼米航空宇宙局(NASA)の観測によれば、この20年で世界の海面水位は8センチも上がった。橋をくぐる舟やゴンドラによる事故や渋滞の報がベネチアなど各地の水の都から届く

據美國太空總署(NASA)觀測的結果表明,這20年以來全世界海平面上升達8釐米。過橋船及螺旋槳整流罩引發的事故和擁堵報導不斷從威尼斯等各地的水上之都傳來。

▼さて何ごとも大きめに言うトランプ氏だが身長は自称190センチ、推定188センチ。訪日の機会があれば、ぜひ徳島のひょうたん島までお越しいただきたい。満潮時にはよほど身をかがめないと、橋桁に頭をぶつけて泣くことになるだろう。

再看看這位任何事都誇大其詞的川普先生,其自稱身高190釐米,估計也就188釐米。倘若有機會訪問日本,務必請他到德島市的葫蘆島來看看。漲潮時若不使勁蜷縮起身子的話,想必肯定會因為腦袋碰撞到橋體橫樑而鳴冤叫屈。

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